猫の権利、飼い主の権利とは?

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猫の抜爪(declaw)手術とは

猫は性質上、高いところへ登るとき、興奮したとき、攻撃するとき、マーキングなどで爪研ぎをします。普段はしまっている爪をグっと出して家具やスクラッチボードを傷つけるのです。家具や子供に攻撃をするなどの理由で、この猫の爪をなくす手術”抜爪”を求める飼い主や薦める獣医師がいます。賛否両論あるこの手術、なぜ問題になるのでしょうか。この手術は英語でonychectomy{onych(爪の部分)ectomy(除去)}といいます。実は猫の爪は人間でいう第一関節にあたり、この指の骨ごとネイルクリッパーやレーザーで切り取ります。そして、とても痛く辛い回復期が必要になります。これが理由で人道的に反すると反対派が多いのです。

爪がなくなるとどうなる?

Onychectomyでは痛み止めを処方されるものの歩行やトイレなど自分で行わなければいけません。ネコ砂を柔らかいものにしなければこの痛みは剣山の上を歩くようなものだといわれています。他に、爪部分の骨ではなく爪を出し入れする腱を切り取る手術、Tendonectomyもあるのですが、回復期には包帯も、特別な猫の砂も、血(通常の抜爪では多少垂れる)もないとはいえ、問題がないというわけではないのです。そもそもなぜ猫が爪研ぎ行為をするのかを忘れてはいけません。上記にあげた理由の他、万が一(100%家猫だとしても)災害などで外に出てしまった場合、外敵から身を守れず餌もとれずに死にいたる確立が高くなります。また手術をしたことにより、慢性的な関節炎などの身体的影響、爪が使えない分噛むなど攻撃的になる行動的影響、ストレスが出るなど精神的影響が考えられます。

猫が猫らしく生きるために

手術をせず引っかかれても我慢しなければならない、というわけではありません。代換法として、インドアの猫にはソフトパウズという軽い素材でできたビニールのネイルキャップをすることができます。前足の爪に専用の糊でくっつけると4~6週間持ち、爪の生え変わりの時期に一緒に取れます。透明なものから色つきのものまであり、猫にマニキュアをしているようにおしゃれです。Tendonectomyをしたとしても少なくとも1~2週間毎に爪きりをしなければいけないことを思えば、こちらのほうが楽なのは一目瞭然です。抜爪はヨーロッパ各国で禁止され、獣医学で有名なカリフォルニア・デービス校ではこの手術をもう教えていません。アメリカで当たり前にするといわれていた抜爪ですが、時代が移り変わってきているようです。いまやペットはコンパニオンアニマルといって家族同然。そんな大事な猫だからこそ、できるだけ猫の生きやすいようサポートするのが飼い主の務めだということを忘れないようにしたいものです。

(2012年09月18日 掲載)

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